top of page

世界遺産の学び(4・5年生の郷土学・地理学)

  • dongurinoie2525
  • 2015年10月18日
  • 読了時間: 5分

どんぐり自然学校では、郷土を愛し、誇りを持ち、世界に目を向けることの人間を育てていくことを目指しています。郷土や地理の学びは歴史的な背景や産業、自然とのつながり、そして昔の人の精神性までも学ぶことができます。

4・5年生は今回、鹿児島市吉野にある世界遺産を通して、吉野の自然や地形、そして人々の暮らしや知恵、産業、歴史的背景についての学びを行いました。

関吉の疎水溝の学び

学校から下田町にある疎水溝まで歩いて行きました。できる限り用水路があった場所を歩きました。これは途中の稲荷川で遊んでいるところ。下流では以前イカダを浮かべて遊んでいるので、「あそこにつながるんだね。」と体で体感します。

今でも残る用水路を右手に歩きました。シジミを見つけたり、おぼれているミミズを救出したり、発見をしながらの道のりでした。吉野の溶結凝灰岩の上を流れる疎水溝。約6km続きますが、高低差はわずか8m!その勾配は0.077°という精密さです。1m進んで1mmちょっとしか下っていません。昔の人は信じられないような技術を持っていたのですね。このような勾配なので、水の流れは歩く速度より遅いのです。

ここが関吉の疎水溝の取水口になります。世界遺産に登録されています。早速葉っぱで舟を作って遊びながら、水の流れを調べます。

メモを取る様子

その後は・・やはり遊んで確かめます。

ここでは、岩のえぐれ具合、岩の削られ方など、様々な疑問が生まれました。

落しの道

次に調べたのは落しの道です。前回歩いて行った疎水溝の取水口から流れていた用水路のトンネルがあるということで、そのトンネルを確かめに行きました。この道はなかなか険しく、子どもたちにとってはちょっとした冒険でした。

「あ、あった!これだよ!」トンネルを見つけました。早速中に入って確かめる子どもたち。

中はこのようになっていました。

しかし、ここで疑問が・・・トンネルの方向がどう考えてもおかしい・・・用水路が通っている方向を考えるとこのようなトンネルの向きは不自然だという声がでました。

そして、子どもたちは「用水路はここで2つに分かれていたのではないか。」という仮説を立てました。

その後、 磯川に向かいました。

磯川につくと、そこには滝がありました。「あ、桜島フェリーが見える!」素晴らしい眺めが突然現れました。

「ここから水を落していたんだね、だから”落し”なんだね。」ということがよく分かりました。

そして、川の左岸に謎の文字を発見しました。

「山下」「前」という文字に見えます。しかし、前という文字は途中まで書かれています。

これはどういう意味があるんだろう・・・・こどもたちの謎は深まるばかりです。

そのほかに、トンビの巣や新しい道、たくさんの木の実、そして写真のような昔の石積みを発見して、これは疎水溝に関係しているに違いない、との思いを胸に学校に帰りました。

寺山炭窯跡

次の学びは寺山炭窯跡です。この日は寺山ふれあい公園まで車で行き、そこから歩いて炭窯まできました。

さあ、ついたよ。

炭窯跡の前で150年前の炭を見つける子どもたち。「炭って150年たっても腐らないんだね!」

炭窯跡をスケッチします。

「どうしてこの場所に炭窯を作ったのか。」「この炭窯の形は地形に合わせてつくったのか」「前面の扉や屋根の部分がないがどうしたのか。」「他の2つの炭窯はどこにあるのか、探してみたい」など、ここでも様々な疑問が生まれました。

炭窯付近の道を駆ける子どもたち。やはり遊びながら自然や地形を確かめていきます。

すぐ裏に滝を見つけました。この川は仙巌園に流れているはず。「いろいろなものがつながっているね」と子どもたち。

葉っぱを流したり、生き物を探したりしました。

こんなに小さなカニを見つけたよ!

帰り道、木にこのような文字が刻まれているのを子どもたちが発見しました。「五四石買」とも読めますし、「五四二四日」とも読めます。いったい何の意味があるのだろう・・・謎はますます深まります。

尚古集成館

吉野の世界遺産の学びの最後は尚古集成館です。やはり学校から歩いて向かいました。

その途中の道でこんなに立派なガを見つけました。「ほら、先生、すごいでしょ!」

向かう道の途中でまた何かを見つけたようです。

子どもたちにとってはすべてが発見の連続です。

仙巌園には、島津さんが作った日本初の水力発電のダム貯水池がありました。

他にも日本初がたくさんありました。鹿児島はすごいところなんだな。

左端が説明をしていただいた尚古集成館の学芸員の山内さん。

今回、どんぐりの子どもたちの様々な疑問に誠心誠意答えていただきました。

とてもユニークな視点で、いろいろな例を交えて、島津氏の精神性や、世界遺産群の自然とのつながり、などを中心にお話を伺いました。とても分かりやすく、豊かな学びとなりました。あっという間の2時間でした。

そして、山内さんからは「ここまで興味、関心のある子どもたちを迎えることは初めてです。」との言葉をいただきました。

なんと、ここでの質問で、落しのトンネルの子どもたちの仮説は正しいのでは、という答えをいただきました。何事も自分の体で確かめる、子どもたちの感覚は素晴らしいと思いました。

帰り道。急な坂道を登ります。

吉野の世界遺産では、まだまだ分かっていないことが多く、今回の質問でもまだ謎のままの部分がたくさんありました。

もしかしたら将来、この子どもたちがその謎を解いてくれるかもしれません。


 
 
 

Comments


  • b-facebook
  • Twitter Round
  • Instagram Black Round
bottom of page